口の中の歯周病菌は血液を介して体中に広がり、全身疾患の引き金となります。
具体的に今回は糖尿病、骨粗鬆症、アテローム性動脈硬化症、心臓病、メタボリックシンドローム、妊娠トラブルについて説明していきたいと思います。
①糖尿病
歯周病は糖尿病の第6の合併症です。
抵抗力(免疫力)が低下するため、感染症である歯周病が進行しやすくなります。
歯周病になると、体の血糖値を下げるホルモン=インスリンが効きにくくなり、糖尿病を悪化させてしまいます。歯周病の治療をすると、血糖コントロールが改善することがわかっています。
②骨粗鬆症
骨密度低下の影響が歯を支えている骨(歯槽骨)にも及び、骨粗鬆症の人は歯周病が進行しやすくなってしまいます。
特に骨粗鬆症の発症率、歯周病によって歯を失う率が高くなる閉経後の女性の場合は特にリスクを減らすよう注意が必要です。
③心臓病
歯周病菌が心臓の弁膜や内膜に感染すると、感染性心内膜炎が起こります。
歯周病の人は虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)にかかる確率も高まります。
④アテローム性動脈硬化症
歯周病菌が歯肉から血管に入り、血管内壁に感染すると、歯周病菌が産生する内毒素やその刺激で産生される炎症性サイトカインが原因となって血栓を作り、動脈硬化を進行させる可能性があります。
⑤メタボリックシンドローム
肥満と糖尿病がある人は、歯周病にもメタボリックシンドロームにもなりやすく、メタボリックシンドロームと歯周病は肩を並べるように同時に進行していき、様々な生活習慣病を引き起こします。
“万病の元“といわれる肥満を解消することは、メタボリックシンドロームの予防や、歯周病の予防につながります。
⑥妊娠トラブル
歯周病になると、炎症性サイトカインやプロスタグランジン(PG)が過剰に分泌され、
妊娠の場合はその濃度が高まると、子宮筋が収縮するため、胎児が充分に成長していない状態で、出産することになってしまい、低体重児が産まれるリスクが高くなってしまいます。
妊娠がわかったら早めに歯科検診を受けましょう。