
お正月といえば、お雑煮や焼き餅などのお餅料理を楽しむ機会が増えます。家族の食卓に欠かせない存在です。
しかし同時に「お餅を食べたときだけ噛みにくさを感じる」「なんとなく口の中が気になる」という声も多くなります。普段は平気でも、お餅の季節だけ違和感が出ることは珍しくありません。
この記事では、お餅が口の中に与える影響と、安全に楽しむためのコツをわかりやすく紹介します。
お餅が歯に負担をかける理由

お餅は粘着性が非常に強く、噛むと歯に大きな負担がかかります。加熱するとデンプンが糊のように変化して伸びやすくなり、歯の表面や詰め物の境目にしっかり密着するからです。炭水化物でできているため歯に残りやすく、長時間付着することで虫歯のリスクも高まります。
特に注意したいのは、詰め物や被せ物、入れ歯、矯正装置を使用している方です。わずかな段差でもお餅が入り込み、貼りついては剥がれる動きが続くことで、詰め物やかぶせ物が少しずつ浮き上がり、最終的に取れてしまうことがあります。治療途中の仮蓋も外れやすく、虫歯で穴のある歯はさらに影響を受けやすくなります。
正月に起こりやすい歯のトラブル
お餅には歯のトラブルに繋がりやすい要因がいくつかあります。
●詰め物や被せ物が外れる
お餅は噛むたびに伸びては戻る動きを繰り返します。この力が補綴物に加わることで、浮いたり動いたりしやすくなり、気づいたら外れていることがあります。
●入れ歯がずれる・誤飲のリスク
お餅が入れ歯の裏側に入り込むと、上下に揺れて噛みにくくなるだけでなく、喉へ滑り込む危険もあります。高齢者や嚥下機能が弱っている方は特に注意が必要です。
●虫歯や歯周病が悪化
お餅は歯の溝や詰め物の境目に残りやすく、そのまま放置すると細菌が増えやすい環境になります。短い期間でも痛みが出るケースがあります。
お餅以外にも注意したい正月料理

正月料理には、お餅以外にも歯を傷めやすい食材があります。
・れんこん、たけのこ、ごぼう(硬くて繊維が強い)
噛んだ瞬間に強い力が加わり、被せ物や差し歯に衝撃が伝わります。
・昆布巻き、かまぼこ、するめ(噛み切りにくい)
前歯で引きちぎろうとすると差し歯が外れることがあります。するめは顎の疲労も招きやすい食材です。
・黒豆やナッツ(点で強い力がかかる)
小さくても衝撃が集中するため、インレーや詰め物が外れやすくなります。
・粘りの強い食品(団子、キャラメル、ドライフルーツ)
お餅と同じ理由で歯に長く残りやすいため注意が必要です。
安全にお餅を楽しむための工夫

お餅を避ける必要はありません。少しの工夫で、歯への負担をぐっと減らせます。
1. 小さく切って食べる
ひとかけらを小さくすると、噛む力が分散され、詰め物への負担が軽くなります。
2. 焼き餅より“煮餅”がおすすめ
焼き餅は硬さと粘りが強くなるためリスクが上がります。雑煮や煮餅のように柔らかい調理法が安心です。
3. 入れ歯の方は事前準備を
可能なら外して食べる方法もあります。つけたまま食べる場合は義歯安定剤で動きを抑えると安全です。
4. 食後のケアを丁寧に
歯ブラシはもちろん、フロスや歯間ブラシを使って、お餅の残りをしっかり取り除きましょう。
5. 年末のうちに歯科でチェック
詰め物の隙間や劣化を早めに確認しておくと、正月のトラブルをぐっと減らせます。
まとめ

お餅は日本の文化に深く根づいた大切な食べ物です。長寿や健康を願う意味も込められているため、正月の食卓に欠かせません。しかし、粘りが強いという特性から、歯にトラブルを起こしやすい食材でもあります。
特徴を理解して食べ方を工夫すれば、安心してお餅を楽しめます。
ぜひ今年のお正月は、歯を守りながら美味しくお餅を味わってください。
