矯正治療と一口にいっても、使われる装置にはさまざまな種類があります。歯を後ろに動かすもの、横に広げるもの、顎の成長を助けるものなど、それぞれに特徴と役割があるのです。
これから矯正装置を使う方の中には「どんな装置なの?」「痛みや違和感はあるの?」「装着中は何に気をつければいいの?」といった不安や疑問を持っているかと思います。そんな疑問を解消できるよう、今回は代表的な7種類の装置について、役割・使い方・注意点をわかりやすくまとめました。
矯正装置の基本を知っておこう
装置の仕組みを理解しておくと、不安が減り、治療を前向きに続けやすくなります。
今回ご紹介するのは
- カリエールディスタライザー
- QH(クアッドヘリックス)
- LA(リガチュアアーム)
- GMD
- ゴムエクスパンジョン
- RME(上顎拡大装置)
- Bio Block(バイオブロック)
の7種類です。
ここから1つずつ見ていきましょう。
カリエールディスタライザー
カリエールディスタライザーは、上の奥歯を後ろに移動させてかみ合わせを整える装置です。抜歯をせずにスペースを確保したいケースや、上顎前突の改善に効果的です。
- 顎間ゴムの使用が必須で、1日24時間装着が理想
- 最低でも12時間以上つけ、就寝中も外さない
- ゴムは1日1回交換が必要
装着直後は違和感が出ますが、数日で慣れることが多いです。
QHとLA(クアッドヘリックスとリガチュアアーム)
これらは歯列の幅を広げたり歯の角度を整える固定式装置です。
- QH:バネ状ワイヤーで上顎全体を左右に拡大
- LA:限られた歯の傾きを矯正
月1回の調整で少しずつ改善していきます。舌で触ると変形する恐れがあるため注意が必要です。
特に顎の成長期の子どもに使用されることが多く、前歯の重なりや噛み合わせ不良に有効です。
GMD
GMDは奥歯を後方へ動かす固定式装置で、上顎前突や奥歯の位置異常に適応されます。
- 装着期間は平均6か月
- 発音や飲み込みにくさが出るが、数日で慣れることが多い
- 繊細な部品を含むため強い力を加えないことが大切
奥歯の位置を整えることで、前歯のスペース確保や噛み合わせ改善につながります。
ゴムエクスパンジョン
ゴムの弾力を利用して歯列を左右に広げる装置です。
- 装着期間は約6か月
- 奥歯が内側に傾いている場合や上顎幅が不足しているケースに使用
- 成長期の子どもに効果的で、不正咬合の予防にもつながります
顎の成長に合わせて自然な広がりを促し、将来の歯並びトラブルを防ぐ効果が期待できます。
RME(上顎拡大装置)
Rapid Maxillary Expansionの略で、上顎を急速に広げるための装置です。
- 毎日スクリューをキーで回す必要がある
- 回転した日をカレンダーに記録することを推奨
- 交叉咬合や歯列の幅不足に効果的
正しい回し方を守ることが治療成功のカギです。
Bio Block(バイオブロック)
成長期のお子さんの顎の発育を促すために使われる装置で、使用期間は1年〜1年半と長めです。
- 食事・歯磨き以外は長時間装着するのが望ましい
- 2日に1回スクリューを回す
- 顎の自然な成長を引き出し、将来的な歯並び悪化を防ぐ効果も
成長期にしっかり使うことで、抜歯を避けつつ自然な歯並びを目指せるのが大きな特徴です。
矯正中の食事とケア
装置をつけている間は食事やケアに工夫が必要です。
- 避けたい食品:ガム・キャラメル・お餅などの粘着性食品、フランスパンやせんべいなど硬い食品
- 食べ方の工夫:硬いものは小さく切る、繊維質の食品は注意
- ケア方法:タフトブラシを使って装置周囲を丁寧に清掃、染め出し液で磨き残しチェック
RMEやバイオブロックのようにスクリュー付きの装置では、周囲を入念に磨くことが特に重要です。
トラブルが起きたら?
装置が外れたり痛みが強いときは、自己判断せず歯科医院に相談しましょう。
- バンドやワイヤーが外れた
- スクリューが回らない
- 装置がきつすぎる、または緩い
- ゴム不足や効果が出ない気がする
こうした場合は早めの連絡が治療成功につながります。
まとめ
今回は、矯正治療でよく使われる装置7種類についてご紹介しました。
どの装置でも共通して大切なのは、
- 正しく使うこと
- 丁寧なセルフケアを続けること
- トラブルを放置しないこと
少しの工夫で快適に過ごせ、装置の効果をしっかり引き出すことができます。不安や疑問があれば遠慮なく歯科医院に相談し、前向きに治療を進めていきましょう。